河内のおっさんのblog

大阪南部の南河内の歴史と文化、風土に育まれた笑いと人情の紹介です。

茶話172 / 飴ちゃん

 大阪のおばちゃんは、いつも飴を持っているというのは有名だが、おっちゃんだって持っている。
 最近、飴ちゃんにはまっている。お気に入りはK社の珈琲飴。少し甘いが、下手なコーヒーを飲んでいるより美味い。
 最初はウォーキングの喉潤しにと買ったが、最近は、寝る前にも一粒口に含む。昔だったら以ての外だったが、砂糖・糖類ゼロのノンシュガーだから罪悪感はない。
 布団の中で湯たんぽ抱いて、甘ほろ苦さを堪能する至福のひと時である。

 砂糖に水を入れて煮詰める。100度くらいになるとシロップができる。
 さらに煮詰めて120度くらいにするとキャラメル。
 150度まで煮詰めるとドロップができる。
 160度まで煮詰めて、ようやく金色のべっこう飴になる。
 砂糖の固まりだから、代表的なべっこう飴の黄金糖は一粒19kcalもある。グリコのキャラメル1粒は16.5kcalで、300m走るのに必要なカロリーがある。一箱8粒食べると132kcalで、食パン(6枚切り)1枚150kcalにほぼ匹敵する。「一粒300m」だから、8粒食べたら2400m走らなければカロリーは消費できない。

 昭和50年ころまで、代表的な調味料の味噌、醤油、砂糖の中で、砂糖が最も高価だった。だから、みんな、甘いものに飢えていた。チョコレートやキャラメルもあったが、ぜいたくな存在だった。
 その点、飴は一個1円でバラ売りしてくれていたので、気軽なおやつだった。「飴ちゃんあげよか」と言われて断る者はいなかった。大阪のおばちゃんの「飴ちゃんあげよか?」は、そんな子どもの頃の経験を引きずっているのに違いない。

 昔は、どこの畑にもサトウキビが植えられていた。
 畦道を歩いていると、おっちゃんが「サトウキビしがむか?」と言って、鎌で切って、くれた。硬い皮を歯でむいて、中の芯をむしゃむしゃとしがむ。牛が口の中で牧草をもぐもぐするように咀嚼(そしゃく)する。すると、甘い汁が口の中いっぱいににひろがる。砂糖の原料だが、砂糖とは違った上品な、程よい甘さだった。
 それが忘れられずに、畑に植えてみたが育たない。そんな話を仲間にしたら、「俺も植えたけどアカンかった」。
 「わしもや!」、「ワイもやががな!」
 みんな、あの甘さが忘れられないのだ。
 飴ちゃんはサトウキビの代用なのかもしれない。
 大阪のおばちゃんもおっちゃんも、子どもの頃の、あの甘いノスタルジアにひたりたいのだ。