「ウサギとカメ」の話で知られている『イソップ物語』の寓話の中に、「3人のレンガ職人」という話がある。ビジネス関係の本やインターネットで、よく取り上げられる話だ。
中世ヨーロッパのとある町で、大聖堂の建築が行われていた。そこへ旅人が通りかかり、一人の職人にたずねた。
「何をしているのですか?」
その職人は、不機嫌そうに答えた。
「レンガを、ただ積んでいるだけさ。つまらない仕事だ」
別の職人にも尋ねてみた。
「何をしているのですか?」
二人目の職人はこう答えた。
「頑丈な強い壁を作っているのだ」
また、別の職人にも尋ねてみた。
「何をしているのですか?」
すると、三人目の職人はにこやかに答えました。
「街中の人が喜ぶ、大きな聖堂をつくっているんだ」
話はこれで終わりなのだが、ビジネス書では次のようにまとめて終わる。
「レンガを運んで積み上げる仕事。やっていることは同じなのに、仕事に取り組む意識・姿勢が全く違う。その仕事をすることの価値。そして、意味づけ・意義づけ。これらを明確にすれば、自分の存在価値・理由が見えてくる。いい仕事をしましょう」
しかし、イソップは、そんなことを言いたかったのではない。なぜなら、イソップは奴隷だったのだから。
それどころか、イソップという人物は存在せず、『イソップ物語』は、何人かの奴隷が語った話・民話を集めたものなのだ。
もう少し言えば、この「3人のレンガ職人」という話は、『イソップ物語』の中には存在しない。

戦後、ある小学校の校長先生が、生徒への訓話として創作した話だそうだ。それに感銘した人々が、あちこちで話し、それが、噂やネットとなって拡散していった。
語れば、それが真実になる。
ブログを始めた理由だ。