河内のおっさんのblog

大阪南部の南河内の歴史と文化、風土に育まれた笑いと人情の紹介です。

旅27 / 老いの小文八――2026夏①

 一たびは曇り、一たびは晴れ。

 車が神戸に入った頃、ラジオが近畿地方の梅雨入りを告げている。

 降りそうで降らない空模様の下、友人の運転で岡山に向かった。

 毎年、桜と紅葉の頃にお邪魔するのだが、今年の春は、右肩の骨折で桜の季節は断念した。六月に入って畑仕事が一段落したので、五月雨の岡山も、また違った情緒があるだろうとお邪魔することにした。

 これで八度目の岡山への行脚になる。

 これまでは、友人の案内してくれるままに観光していたが、もう案内する所が無くなったのだろう。「どこに行きたいか決めてくれ」と言うので、AIに「お爺さん二人の旅」で検索した。その最初は、湯の郷温泉を眼下にして、遠くは中国山脈(中国山地)を一望できる大山展望台に向かった。

 旅に出る前に、美作市が製作した『美作物語』という短編映画を観た。

 美作市の観光資源や商品をPRする映画だが、しっかりとしたストーリーを綺麗な映像で描いている。

 4か国語の字幕を付けて世界同時配信され、ハリウッド映画祭の最優秀短編賞を受賞。さらに、「日本国際観光映像祭(JWTFF)2026」の旅ムービー部門で最優秀賞に輝くなど、シリーズを通して国内外の権威ある映画祭で高い評価を獲得している。

 美作市を舞台に、高校生アスカと萌乃の10年の歳を描いた成長物語だ。そこに登場するのが大山展望台だ。

 この展望台から美作の町を眺めながら、二人の高校生は人生を見据え、二人の歩いてきた人生を確認しながら成長していく。

 展望台の駐車場から、痛い腰をさすりながら、片や息を切らせて階段を上る。高校時代の同級生とはいえ、七十を超えたオジン二人。

 「美作物語」の若い二人とは、うってかわって痛々しい。

 とはいえ、展望塔の上から眺望する景色は素晴らしかった。

 難儀なことばかりの人生だが、最後は静かで爽やかでありたいものだ。

 

  美作の丘に吹き上ぐ初夏の風