河内のおっさんのblog

大阪南部の南河内の歴史と文化、風土に育まれた笑いと人情の紹介です。

茶話 / 愛しのミニ式部ちゃん

 家の前の道を、男子高生が大きな声で歌いながら、自転車で通り過ぎて行った。とても上手とはいえない。恥ずかしくはないのだろうか。
 その後から、自転車に乗った女子高生が三人、短いスカートで、恥ずかしげもなく通り過ぎて行く。寒っぶいのに、おいど冷えるでと思いつつ、「女学生」という懐かしい言葉が頭をよぎった。

 自由奔放に振る舞うのは若者の特権で、今に始まったことではない。
 明治の33年に「ハイカラ」という言葉がつかわれ出した。「ハイカラー(=高い襟=ワイシャツ)」からできた言葉で、〈西洋かぶれ・気障な当世風〉という意味だ。

 チリンリンと出で来るは シルクハットに燕尾服
 ゴールド眼鏡を鼻の先 ゴム輪の人力駆け回り ゼントル気取るハイカラも 家へ帰れば火の車 アイス(? 高金利)返すは口車 (以上 ハイカラ節)

 最初は西洋かぶれの成り金男性をからかう言葉だったが、そのうちに、当時から増えだした「女学生」にもつかわれだす。

 ニ八(にはち=16)乙女の初恋は 互いに行き交う丸の内 スクール帰りの道の辺に 逢うて楽しき胸の裡  いつしか色にあらわれて ものや思うと尋ぬられ パット散りたる桜色

 はては、海老茶色の袴(はかま)を履いて、得意げにしている女学生を「海老茶式部」と呼ぶようになる。

※竹貫佳水 著『少女四季物語』明42 国立国会図書館デジタルコレクション

 清少納言こそ、したり顔にいみじうはべりける人。さばかりさかしだち、真名書き散らしてはべるほども、よく見れば、まだいと足らぬこと多かり『紫式部日記』

 (清少納言ほど、得意顔してイヤな女は有りゃしませんよ。やたらと賢こぶって漢字をつかいまくっておりますが、書かれたものをよく読んでみると、ほんと、まだまだ未熟なことだらけだわ)

 現代の女子高生のルーツは、紫式部や清少納言の昔にまでさかのぼることができる。
 若者は誇らしげでいい。明日からは、自転車通学の彼女たちを「ミニ式部ちゃん」と呼ぶことにしよう。

 霞に匂う隅田川 春の夕べの月影に 雪かと見ゆる八重桜 花に見違うドーター(女学生・娘)の 背なに垂れたる黒髪に 散るやチェリーのひらひらと 女蝶男蝶の戯れか